縮小しながら発展する地域の創生
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27人口減少社会を希望に~グローバル化の先のローカル化~ているように、ひたすら「拡大・成長」という方向を追求すると、むしろ出生率は下がってしまう。逆に言えば、ゆとりある定常型社会の実現が、結果的に出生率の向上にもつながるのではないでしょうか。もう一つは、今私たちは、高度成長期の負の遺産に直面していて、近年の新たな動きはむしろ希望の持てるものではないか、ということです。例えば昨年、人口減少が一番激しく、高齢化の進む秋田県を2回ほど訪れました。秋田県でも、人口減少・社会減が圧倒的に大きかったのは、昭和30年代から40年代くらいです。最近は、もう社会減は明らかに減っている状況にあります。若者の間で「秋田回帰」が起こっているのです。(10)地域再生・活性化への政策課題これから紹介するのは、2010年に全国の自治体に行った「地域再生・活性化に関するアンケート調査」の一部です。最初の設問は、「人口減少社会という時代状況における今後の地域社会や政策の大きな方向性は何か」です。あえて、選択肢を「成長型社会」「定常型社会」「縮小型社会」の3つに絞っています。すると、予想以上に「成長型」は少なく、11%くらい。圧倒的多数は「定常型」か「縮小型」です。自治体の認識もかなり変わってきていることがわかります。「現在直面している政策課題で特に優先度が高いと考えられるもの」という設問では、「少子化・高齢化の進行」「人口減少や若者の流出」という答えが多くを占めています。地域によってかなり課題が異なっています。直面している課題を人口規模別に見ると、小さな自治体では「人口減少や若者の流出」が大きな政策課題となります。中堅規模の地方都市

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