縮小しながら発展する地域の創生
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22「World Values Survey」(世界価値観調査)によれば、幸福度の1位はデンマークで、日本は43位です。イギリスのレスター大学による「World map of happiness」(世界幸福地図)でも、1位はデンマークで、日本は90位です。もちろん、幸福度の国際比較は困難です。文化差もありますので、額面どおり受け止める必要はありません。ただ、日本は経済的な豊かさをある程度保っている割に、幸福度ではいろいろと問題があると示されている、ということは言えます。先ほどの新しい出発点を考える話ともつながってきます。(4)GNH・GAH・AKH幸福度に関しては、GDPに代わる豊かさの指標の試みも進んでいます。有名なものでは、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツやセンといった経済学者が、「GDPに代わる指標」に関する報告書を、サルコジ前フランス大統領の委託を受けて刊行しました。ブータンの「Gross-National Happiness(GNH)」は70年代から唱えられています。私がここ数年関わっている幸福度の指標に、東京都荒川区の「Gross Arakawa Happiness(GAH)」があります。単に指標をつくるだけでなく、具体的な政策課題と結び付けています。荒川区が最初に取り組んだのは、子どもの貧困の問題です。さらに地域力、現在は子どもの自然体験に取り組んでいます。また熊本県では「Aggregate Kumamoto Happiness(AKH)」により、幸福度を高めていこうとしています。このように、GDPに代わる豊かさの指標が、国内的にも国際的にも、研究面でも実務面でも、さまざまな試行錯誤が動きつつあります。

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