縮小しながら発展する地域の創生
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20他の国もある意味で、日本を追いかけるように経験していく。したがって、人口減少と高齢化に日本がどう対応していくかは、日本にとってだけ意味があるのではなく、世界にとって意味がある」というものでした。ただ経済誌ですから、基本的なトーンは、「人口減少・高齢化の中で、いかに経済を回復していくか、拡大していくか、競争力を高めていくか」といった内容が中心で、高齢化と人口減少をネガティブなものとして捉えていました。しかし私は、「果たしてそうだろうか」と考えます。高齢化・人口減少は確かに大変な課題ではありますが、その中にプラスの可能性やさまざまなチャンスが宿っているという面もあるのではないかと思うのです。(2)日本の総人口の長期的トレンド一昨年の「増田レポート」以来しきりに議論されていますが、日本の人口のトレンドを、平安時代くらいからさかのぼって長期に見てみましょう(図2)。特徴的なのは、江戸時代には約3000万人で安定していた後、いわゆる「黒船ショック」、欧米列強の軍事力や科学技術力に度肝を抜かれるような形で、一気に人口が急増するような時代が続いたことです。ただ、2005年に初めて人口が減り、その後数年間は上下する年もありましたが、2011年以降は一貫して減少期に入りました。現在の出生率が続くと、2050年には1億人を切るという状況です。折れ線グラフの形は、ジェットコースターのように急落していますが、私たちは今、ジェットコースターの突先にいて、落下する寸前にいる状況のように見えます。それで大変だという議論になるわけです。しかし私は、必ずしもそればかりではないと考えます。その趣旨の一つは、黒船ショックで

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