縮小しながら発展する地域の創生
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102行っているわけですから、農業者、漁業者というのはいつも、「自然」という大きなサイクル、広井さんのおっしゃる「自然」という概念に回路をつくっていく産業だから重大なのだと思います。これは、1次産業以外にはできません。2次産業、3次産業と言われているものは、自然循環の中に自分を結びつけていくことができないわけです。資材・生産材料が現地から調達されて、工場に集まってくる2次産業。3次産業はその上に立って販売されるという形です。つまり、1次産業だけが人間の世界よりも大きい自然サイクルの中につながっていく回路をつくっています。ですから、富本ということを考えると、農業は一つのモデルになっていくだろうと僕は考えています。僕がなぜ、JAの研究を一緒にやっているかと言うと、農業・漁業・林業はたいへん長期に羽振りが悪かったのですが、今後のことを考えると、人間にとって最も重要な産業の形態になるからです。今は、羽振りが悪くなった状態を何とか回復しようと思って6次産業化を訴えていますが、6次産業の先にあるものを考えてみると、農業・漁業・林業の価値というものの再発見につながっていき、最初に言った「資本主義がどちらの方向へ向かっていかなければいけないか」ということの一つの回答ではないかと、僕は考えています。川井:ありがとうございました。(*15) 平成25年度JA共済総研セミナー「自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり」(2014年3月12 日開催)。講演録は『自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり~食・自然エネルギー・ケアでつながる新たな生活基盤の可能性を探る~』(2014年10月発行)をご参照のこと。http://www.jkri.or.jp/report/bet/201410.html

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