縮小しながら発展する地域の創生
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101から何までやる必要はないのではないと思えるのです。形態として一つのモノができ上がる、あるいは一つのサービスが完成するとき、何人かの、場合によっては法人も違う人たちが絡み合いながら、一つの価値が生み出されていくという「高次元産業化」も、これから考えていかなければいけないのではないかと感じました。では最後に、本日のインキュベーター役でもある中沢先生にひと言いただければと思います。中沢:前々回のシンポジウム((*(*でもお話ししましたが、なぜ農業・漁業・1次産業なのかということを考えてみると、先ほどは発酵菌のことを言いましたが、富というのは要するに、人間の世界の循環とは異なる、大きい循環の中で動いている世界があって、そこに接続回路をつくっていくことが大事です。そうすると、今の資本主義の最大問題というのは、人間の世界で閉じてしまうことです。経済の世界で閉じてしまって、しかも今、その閉じている領域がものすごく狭く、お金という領域に狭まっています。そして、温暖化が進む地球や人間の生命などの問題が、資本主義からは切られているということが重大な問題になっています。今、資本主義がどちらに変わっていかなければいけないということを考えてみると、この人間化されない世界の中に通路をつくっていける資本主義、それが先ほど言った富本という考え方の一番のアイデアで、酵母菌がやっていたことです。それを人間がやろうとして、1次産業が担っていたわけです。しかし、いくらお百姓さんが頑張っても、天候不順が続いたり、蒔いた種が満足なものではなかったりすると、収量は上がりません。いわば庭師さんと同じです。人間が自然に働きかけて、自然の生育を助けるという働きを

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