2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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97のとり方などについて、辻先生、西村先生のお考えをお聞かせいただきたいのですが。生活の場で、その人らしく笑顔で生きることを考えていけば「選択」はおのずと生まれてくる辻:お答えになるかどうか分かりませんが、お話ししたいと思います。 「自助・互助・共助」と言うと何か硬い話になってしまうのですが、私は、在宅医療は日本の未来にかかわるという確信をもって仕事をしています。それはどういうことかというと、日本では生き死にと医療の関係が非常に深いのですが、結局、病院医療というのは「治療をして治すところである」という定義は外せないと思います。早川先生の病院は別ですよ。病院という名の地域のセンター化をしているわけですから。私もこれからはそうあるべきだと思いますが、いわゆる狭義の病院については「病気を治すところ」です。そこに身を置く救急医であれば、「来たら助けるために全力を尽くす。これ以外の選択なんて100%あり得ない」と言います。来たら助ける。これによって、救急医は崇高な仕事をしているわけです。それが病院ですよね。 したがって、「自分がどこに身を置いて、どのように生きたいのか」というのが私は選択だと思います。しかし最近は、最後に胃い瘻ろうを付けるかどうかというような狭い意味での選択の感じが出過ぎてしまって、自己責任というような硬い言葉が使われたりもします。 今日は西村先生の勢いに乗ってあえて言いますが、私は医者ではありませんが、ずっと30年間ほど在宅医療に注目してきました。病院から家へ帰って家族がまず何をするかというと、食べさせようとするのです。家では好きなものを、おいしいものを食べさせてあげたい。家族とし

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