2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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96本当のつながりというか、力を感じました。よく川井研究員は「人間力」や「地域力」ということを言われますが、そういったものをすごく感じましたし、そうした人間力や地域力があるところは残っていくのだろうと実感しました。セミナー冒頭のご挨拶の中で「地域に入って地域の方々と実証的な研究を行うことを大事にしていきたい。豊かな安心して暮らせるまちづくりのために、当研究所としても少しでも貢献していきたい」と申し上げましたが、まさにそうしたことを痛感しました。地域包括ケアにおける「本人、家族の選択」とは何か。自助との違いを検証する川井:真野先生からも一言いただけますか。真野:今回、私はあえてシンポジストの先生方に、挑戦的な質問をするような立場で臨ませていただいております(笑)。そこでちょっと恐縮なのですが、先ほどの地域包括ケアのところで「選択が重要である」というお話に関連してひとつ質問です。私も自分の書いた本などで、いわゆる“お仕着せ医療”は間違っていて、これからは病院医療からケアの時代に変わっていく、ということをよく書いています。ですがその一方で、仮にそうなっていきますと、この「選択」という部分が少し誤った受け止められ方をされかねないと思うのです。何を申し上げたいかというと、先ほど西村先生が触れられたいわゆる新自由主義の方たちなどは、「自助」という側面に非常に反応するわけです。ある程度自らが選択しなければいけないという話になると、その分、自助のウェートも増してくると思われますが、選択と自助の関係性というかバランス(*21)三河(愛知県東部)、遠江(静岡県西部)、南信州(長野県南部)地域の総称。

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