2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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9521世紀に残るためには「何が大切か」に気づくことが大切川井:さて、今のお話の続きで、先ほど早川先生から「豊田市はまだ何とかなるけれども」というお話がありました。実は早川先生の足助病院の診療圏の中には結構厳しい地域がありまして、私は先日、町田理事長と一緒にその厳しい地域の祭りを見に行ってきました。設楽町、東とうえいちょう栄町、豊とよねむら根村という山奥深い、いわゆる三遠南信((*(*という地域です。そこでの祭りの光景を見ていて、まだまだこの地域は消えないのではないかと私は感じたのですが、町田理事長も何か感じるところはありませんでしたか。町田:私もまったくそのように思いました。先ほどの早川先生のお話を伺い、21世紀に何が残るのかと考えたときには、本当に強いものや基本的なもの、普遍的な価値のあるものがたぶん残っていくのだと思います。西村先生もおっしゃっていましたが、それは食であり、仕事でいえば農であります。また、辻先生がお話しされたように、経済的な貨幣価値だけでは計算しきれない地域のよさ、お互いに支え合って助け合うつながりです。 こうしたものが残っていくと思います。東日本大震災が発生した4年前の今頃は、皆さんが食べ物は大事だと強く感じていたと思います。しかし、風化という言葉がいいかどうか分かりませんが、今は少しそれが薄れているように思えます。私自身も含め、これからは「何が大切か」に気づくかどうかの期間になるのではないかと思います。 私は奥三河で『花祭り』を見せていただきました。伝承の力もあるでしょうが、お子さんからお年寄りまで、老若男女が夜の7時、8時から朝の7時、8時までずっと踊り続けていて、

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