2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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8675歳までは普通の体力を持っていますので、7日フル稼働でなくてもいいけれども、75歳までは働くことを基本にする。これはもう緊急の課題です。一番いいのは、「地域で働く」ことです。地域で、若い人の労働を阻害しないように子育て支援をし、高齢者のケアをする。体力が必要な仕事は若い人がしますから、実際には生活支援です。見守り、相談、食事のデリバリーなど、さまざまなお世話をする。このようなことに多くの人が従事して、それで地域では一人前なのだという考え方です。 生涯、自分の肩書きだけで生きるにはあまりにも長い人生です。75歳、85歳になったら名刺は関係ないですよ。したがって、もう名刺は捨てて、地域で生きる。そのような大パラダイム転換がかなり急がれます。その意味では、私を含む団塊の世代が全体的にどうも、しょぼんとしているような気がします。疲れたのか、しらけているのか、ちょっと分からないのですが(笑)。団塊の世代が65から70歳台に向けてどうするか、ということが1点目です。我々自身の考え方、価値観を心豊かに変えていかなければやってくる危機は乗り切れない辻:二点目ですが、『病院の世紀の理論((*(*』という本の中で「病院の世紀の終焉」ということを書かれた方がいます。病院が悪い、という意味ではありません。病院を否定する必要はないけれども、病院中心の医療から生活を支える医療へシフトする。病院はそれを支えるためにある、という大転換です。 実は時間の関係上、基調報告では割愛しましたが、私が最後に紹介したかった言葉があります。それは、地域包括ケア研究会の座長である慶應義塾大学の田中滋先生がまとめられた報告

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