2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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85答で恐縮ですが、私としては21世紀という時代のキーワードは、「高齢化」です。高齢者が元気に生きていくためには75歳まで働くという大パラダイム転換が急がれている辻:「21世紀は高齢者の世紀」という言葉があるそうです。世界中が高齢化するのです。日本という国は、これまでもいろいろな意味で国際的に活躍してきたけれども、今はこの「超高齢社会」ということで世界に注目されています。これの克服に成功したら、かなりのプレゼンスですよね。逆に失敗したら、正直言って東アジアは絶望するのではないかと思います。「経済発展の未来とは何なのだ?」という話ですよね。その意味で、21世紀は高齢者の世紀であって、日本がこれをどう乗り越えるかという話です。 この話を、今日のセミナーのタイトルにもある「2025年」をターゲットとしてするなら、本当に目の前までやってきている話が後期高齢者の急増という問題です。2025~40年という時期をどうしのいでいくか、ということです。大都市圏では病院で受け止め切れませんから、まず「医療地獄」ともいうべき状況がやってきます。そして長生きをしますから、次に要介護になるわけです。医療地獄から始まって、次は、介護地獄というシナリオです。このシナリオをどう変えていくかというのが今世紀最大のテーマです。 そのような状況がある中で、ベースとしてはともかくできる限り医療のお世話にならないように、元気を維持する。その典型が、「働く」ということです。生活習慣病で失敗しない限り、(*17)聖路加国際病院 名誉院長。(再掲)(*18)トマ・ピケティ、フランスの経済学者、パリ経済大学教授。

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