2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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84100歳の人の家計がどうなっているかという調査を始めているのですが、まだまだ分からないことがたくさんあります。 アメリカでは100歳以上の研究がすごく進んでいます。ただしそれは、100歳になっても超元気な、日本で言うと、例えば日野原重明先生((*(*のような方だけを対象にした調査です。普通の一般庶民はおそらく、這いつくばって苦しい時期もあれば、元気で走ることができない時期もある中で暮らしています。総人口でみるとアメリカは日本の2・5倍くらいあるのですが、100歳以上の方の絶対数については、あと数年もすれば日本が米国を超えます。一方で、イスラム圏に目を移すと、ここは少子化が進んでいなかった地域なのですが、最近の動きをみるとやや少子化の兆しが出てきています。もちろん、まだ世界人口と食糧との関係の議論に影響を及ぼすような変化ではないと思われますが、兎にも角にも世界中が少子高齢化に進んでいくことだけは確かです。そうすると、例えば2050年くらいをイメージするとき、頭の中でいろいろな発想の転換が必要になってくるはずです。だから先ほど申し上げたように、世界の先頭を切って高齢化が進んでいる日本では「65歳は年寄りとは言わない」という問題提起を今しているのです。 ただ、高齢化が深まるにつれていろいろな問題が生じています。最近、ピケティ((*(*が話題になりましたが、日本の場合、富の半分以上を60歳以上が持っています。それが世代全体に及ぼす影響がどうかという問題があります。これは本当に深刻な問題で、最近は亡くなる人のお金はまた年寄りが相続するという笑い話があるくらいです。そうしたらいつまでたっても若い人にお金が行かないので、どうするのかという話が出てくるのです。というわけで、通り一遍の回

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