2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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82我)」と、その客我に対して能動的に反応する「I(主我)」という自己意識に関する理論を発表したわけですが、この「I(主我)」こそが、いわゆる世間でいう“創発”とか“ イノベーション”を生み出す源泉であり、それは本当に重大な局面にぶつかったときに人間に目覚める。まさにそうしたことが起こっているのではないかと思います。 確かに、資源がたくさんあり過ぎて、人もたくさんいて、誰かがやってくれるだろうという感覚のなかでは絶対に起こらないことかもしれないですね。それを考えると、今の都市部の状況にもっと危機感をもって、その先にあるものを見据え、今から準備をしておかなければいけないという気がいたします。日本の21世紀はいかなる時代か。将来に備えるため、今の時代を改めて見つめ直す川井:ここで皆さまと少し意識を共有したいと思います。今、私たちが置かれているこの時代には、「在宅医療」「ケア」「まちづくり」の問題などが全部入ってきています。特に西村先生がお話しくださった人口問題などは、今すぐには何も起こらないが、確実に超高齢社会は深化(*15)実用主義、道具主義、実際主義と訳される。(*16)ジョージ・ハーバード・ミード(1863―1931) 社会心理学者、哲学者、思想史家。川井 真

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