2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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79れて、その後、私が別の機会に行って勉強させていただいた東近江の「三方よし研究会((*(*」は、「多職種協働」の最先端を行っています。しかもここは、私が重要な鍵だと思っている、いろいろな人間の“顔の見える関係”と“ICT(情報通信技術)”の両方をうまく使っているのです。ICTを本当に上手に活用し、医師、看護師、OT((*(*・PT((*(*、ヘルパー、介護従事者のみんながコミュニケーションをとりながら、例えば一人の90歳の高齢の方を、最期は看取りになりますが、「この後どのように見守っていくとよいのか」ということを情報交換しています。私はこれを見ていて、本当に最高の医療、あるいは最高のケアが提供されていると感じました。 もちろん、日本だけが進んでいるという言い方をするつもりはありません。認知症のケアも、まだまだ世界から勉強すべきことはいろいろあります。しかし今の日本には、認知症のケアに関してものすごく進んでいる地域があり、それは決して東京、大阪、名古屋という大都市ではありません。まったく支援がないところでは難しいと思いますが、東京のように大学病院から何から何までみんなそろっている地域で、イノベーションが起きるわけではないのです。例えば、昨年度のこのセミナーの公開研究会の小冊子(*1)を拝見しましたが、そこで取り上げられている事例のように、地方ではそれはかなり起きていると思っています。 ここでは医療・介護の事例を申し上げましたが、おそらく他の事例でも地方のほうが、取り組みが進んでいると思います。ただ、地方という言葉は難しくて、ほとんど人がいないところから、10万人、20万人いるようなところもあり、ちょっといい加減な言い方ですが。(*11)東京大学客員教授、元総務大臣、元岩手県知事。

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