2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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75 皆さんのお話にも出てきましたが、いかに人と人のつながりをつくっていくかです。別に大層なことを言うつもりはありませんが、特にここ数年前までの日本は、新自由主義的な社会風潮の下でいろいろなことが切り離され、人間と人間の助け合いの関係を面と向かってはっきり言うことは恥ずかしい雰囲気すらあったように思います。例えば、お客さまは神さまです。だからお客さまが「パンだ」と言えば、「はい」と言ってパンを出すしかない。そうではなく、そこでお客さまに対して「パンよりもコメの方が体にいい」と言えば、「超高齢社会におけるケアにとって、咀嚼能力の維持は重要な健康維持手段のひとつだ」というような話にもつながっていきます。 そのようなつながりをどうやってつくるかという視点から、まちの配置、産業の配置を考えてもいいのではないか。単に1次から発するのではなく、1次から2次、2次から3次へとどうやって働きかけていくのかを考える。そして3次の消費者とコミュニケーションを図り、いろいろな意見を汲み取る形で6次産業に進化を遂げたらいい。そういう趣旨で問題提起をさせていただきました。何歳になっても働き続けられる社会形成のためにも6次産業化の視点は大事川井:6次産業化というキーワードが出てきました。これはまさに町田理事長が農林水産省時代から意識されていたテーマでもありますが、何かコメントはございますか。町田勝弘(以下、町田):西村先生、大変的確で新しい視点からのご指摘をいただいて本当に(*9)2005年10月に設楽町と合併。

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