2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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74「つながり」をつくる視点でまちや産業の配置を考えてみる西村:もちろん、これはまちの大きさにもよると思います。先ほど早川先生が足助町の高齢化率の話をされましたが、たぶん足助町は2035年になっても間違いなく残っていると思います。ただし私の友人の出身地である津具村(*9)(現・設したらちょう楽町)は、絶対に消滅しないとは言えない。そうすると、誰もいないところに産業も何もないわけです。ですから、これからお話することは、1次、2次、3次がそろう場所もあれば、農業だけのところもあるという前提で申し上げます。 ある自動車会社に勤めている私の親戚は、愛知県にある自動車工場の近くに住んでいます。彼らは今そこで兼業農家をやっていますが、私はどうして自動車会社の人間が、農業サイドとの交流をもっと一生懸命やろうとしないのかとずっと不思議に思っていました。どうしてかというと、農業サイドの方はしばしば、「日本人があまりコメを食わなくなってよろしくない」という話をされます。私もその意見に賛成ですが、それならコメを食べさせる工夫をしようということで、6次産業が出てきたと私は思っています。そういうアンテナを立てておけば、コメは面倒くさいからパンの方がいいと言う消費者にコメをもっと簡単に食べさせるような工夫をする。あるいは、噛むことはすごく大事な健康維持の手段でパンばかり食べていると歯がどんどん弱くなって将来大変なことになるということをきちんと伝えられる人がそこへ行く。例えば、自動車会社が運営する農業会社のビジネスマンが出かけていって3次産業でコメを売るような、そうした一連の流れをつくっていくことができると思うのです。

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