2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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71いうものがありますが、これを私どもは「在宅医療専門の診療所」という位置づけにしています。がんの難しい痛み、小児の医療などに対応するためには、在宅医療専門の診療所がもちろん必要です。それから、かかりつけ医を持っていないまま、例えばがんで退院された方もいるので、やはり必要です。 ただ、今後の日本の医療のあり方を考えると、まずはかかりつけ医がいて、かかりつけ医がベース部分を診る。これが本来の姿であることを明らかにした上でなければ、変な話なのですが、地域によってはかかりつけ医が本来の役割を果たすことを阻害することにもなりかねません。在宅医療専門が地域を荒らすというような表現もあり、医師会関係者からは批判もあるのですが、そのような動きにまで行ってしまうとしたら、わが国の医療のあり方としては逆だと思います。そういうことで、あくまでも医師会の秩序の中で在宅医療専門の診療所が上手に相互補完関係に入る。これが理想だということをはっきり申し上げています。 在宅医療専門の診療所は、同行訪問などで実際の在宅医療とはどのようなものかを教えてくれたり、いざというときのバックアップをしてくれたりする支えですよね。ですから基本的には、在宅医療専門の診療所には複数の医師がいるというのが本来の姿だと私は思っています。そのような補完関係で、在宅医療専門の診療所辻  哲夫

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