2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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64 地域に認知症の人はだいたい10%くらいです。これは自覚している認知症の人です。認知症に関する知識は、皆さんほぼ正確に持っていました。どのような病名が付くとか、予防はどうしたらいいかという知識もほぼ正確に持っていました。それからここが一番大事な点なのですが、田舎ならではの古い価値観が残っている土地柄にもかかわらず、「自分が認知症になったら告知をしてほしい」「地域に知ってほしい」という意見が半数を超えていたことでした。 それはなぜかというと、認知症を地域で看ることに賛成する方が6割以上もいたからなのです。そして、その半数以上の人が「認知症の人を手助けしたい」とおっしゃっています。この人たちに自分がどのような支援ができるかまで尋ねたところ、「徘徊した人を探しにいく」「話し相手になる」ことをはじめ、そのようにしながら地域全体で看ればよい、という答えが返ってきました。 今、地域の方にアンケート結果について説明に伺っているところですが、これはとても力強い結果だと思っていて、やはりこの足助という地域は捨てたものではない、と改めて感じています。10年後の地域の姿を視野に病院としてできることを実践早川:足助病院では「10年後までにできること」を整理し、いわゆる地域包括ケアのほかにも、いろいろなことを手掛けています。 一つ目は「健康長寿のお手伝い」です。これは予防に通じる臨床試験です。先ほど辻先生の報告の中でサルコペニアの話が出ましたが、そ(*4)アンケート調査結果の概略については、川井真(2014)「認知症と地域力 三河中山間地域における認知症アンケート結果から」『共済総合研究』Vol.69に掲載。当研究所ウェブサイトを参照。

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