2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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54例えば緩和ケアでは、がん末期で麻薬性鎮痛薬の使用中に再び痛みが出て家族も本人も不安がっているという個別事例を出し、多職種で議論します。訪問医療の経験がない医師は最初戸惑います。しかし、変わってくるのです。グループワークには訪問看護師や薬剤師のベテランを送り込んでいますから、「この人たちと組めばいいんだ」と分かるのです。それに医師はタフな職種ですから、「これくらいのことはできる」と自らジャンプアップします。この研修を経るたびに、医師は一定の割合で確実に行動変容をしています。(5)進む「多職種チームビルディング」もうひとつ感銘したことがあります。研修は柏市医師会と柏市が共催していますが、研修を通じて団体間の繋がりが良くなったことです。柏市内の「多職種チームビルディング」が進みました。また、研修でグループワークやファシリテートの仕方をみんなが覚えますので、「顔の見える関係会議」もスムーズになりました。多職種連携のことを英語でIPW(Interprofessional Work)、地域包括ケアのことを"Community-based Integrated Care System"と言うそうです。病院で治すことはやり抜いたわけですから、次は在宅医療を含む「地域包括ケア」というのが世界的な潮流で、そのポイントは多職種連携であるという方向です。現在、この多職種連携の研修プログラムを公開し、日本中に普及させようとしています。(6)地域包括ケアシステムの具現化ちょうど地区医師会が移転する時だったので、豊四季台団地に柏地域医療連携センターを建てました。1階の在宅医療連携拠点には市役所の介護保険担当部局の一部が入り、2階に医師会

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