2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
49/128

47(3)在宅医療の課題と介護保険制度改革しかし、生活の場に訪問診療に来てくれる医師はなかなかいません。また、在宅医療には看護など他職種の連携が必要です。お医者さんは2週間に1回くらいで、あとは訪問看護師さんや介護ヘルパーが来るような連携システムが必要です。これをどうするか。もうひとつの課題は、在宅療養の場合は入退院を繰り返すことも多いので、必要な治療をして体力が落ちる前に帰すバックアップ病床が必要になります。これらは全体が連携していないとできません。在宅医療は地域全体の話になるので、簡単にはできません。これらを繋ぐ役割が必要です。その繋ぐ役割がはっきりしていないのが最大の課題です。そこで今回の介護保険制度改革では、「繋ぐ仕事は市町村の介護保険の仕事である」という法律改正をしました。2018年4月から全面実施されます。これは非常に大きな改革です。在宅医療の普及の繋ぎ役が市町村の介護保険の仕事になったのです。しかし、まだ市町村には十分情報が降りていません。2018年4月に向けてこのシステムをいかにつくるかが、今後の課題となります。6.柏プロジェクトの取り組み(1)プロジェクトの全体像地域包括ケアシステムのひとつのモデルとして、柏プロジェクトでは実質約4年間で1つの形が完成しました。柏市は千葉県の東京経済圏ですが、1964(昭和39)年に豊とよ四し季き台だい団地という大きな団地地域包括ケアシステムを先取りした街づくり~千葉県「柏プロジェクト」の在宅医療・介護モデル~(*5)Talcott Parsons(*6)Sick Roll

元のページ  ../index.html#49

このブックを見る