2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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44(2)ケアの思想の転換2006(平成18)年の介護保険制度改革で、小規模多機能型居宅介護というサービスシステムが導入されました。住まいを中心に、自分の毎日の繰り返しのパターンがある。生活の原点といえる自分の住まいに住んで、日中は出掛ける。調子の悪い時は介護側から様子を見にいく。もっと調子が悪い時はお泊りで調整する、ということです。ただ、重い認知症の一人暮らしにはグループホームやユニットケアが必要です。ですから、施設は不要という意味ではなく、できる限り自分の馴染んだ住まいで生活を続けられるようなシステムにしようということです。これが日本のケア思想の大転換であり、今後その政策がぶれることはありません。スライドの写真(掲載略)の人は「仮性寝たきり」でした。筋力があるのに寝かせきりになっていたのです。筋力も残っていたのでリハビリをして車いすに乗り、最後には自分の部屋に住み、この笑顔で生活を繰り返しています。弱ったら隔離して保護するのでは、弱るばかりです。これを大転換しようとしているのが、「地域包括ケアシステム」です。(3)地域包括ケアシステムの概念これは2011年に出された、地域包括ケアシステムの概念を表した図です(図3)。30分で駆けつけられる中学校区単位くらいの圏域に、生活を繰り返す「住まい」がある。それから見守り、相談、食事のサービスがある。一人暮らしで不安になってきたら、これらの「生活支援」が必要です。こうしたサービスが付いた住宅を「サービス付き高齢者向け住宅」と言います。そして必要に応じて、「介護」「看護・医療」が住まいにやってくる。その地域は、

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