2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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42います。サルコペニア(*2)といって、歳をとると筋肉が速いスピードで減ります。それでいろいろなトラブルが起こります。3年間、膨大な数のデータをとったところ、ふくらはぎを自分の指輪っかでつかんでグスグスの人は、サルコペニアになっている確率が高いというデータが出ました。その段階からいかに虚弱化を予防するかが大事で、そのための研究に必死で取り組んでいます。サルコペニアの兆候が見つかったら、基本的にはしっかり食べることです。歳をとったら、小太りよりも痩せの方が怖いのです。もちろん、食べると同時に運動もしなければ防止できません。(3)外出機会の推進また、サルコペニアの人を調査したら、社会とのコミュニケーション能力が落ちていることが、虚弱化の一番入口の原因だと分かってきました。健康を維持している人は出歩く人です。東京都健康長寿医療センター研究所(東京都老人総合研究所)によると、週1回以上出掛ける人は、週1回以下しか出掛けない人に比べて、歩行障害の発生リスクが4分の1です。認知症の発症リスクは3.5分の1です。要するに、認知症は治せないけれど、社会に出ることで遅らせることは十分可能だということです。(4)健康長寿のための3つの柱生活習慣病を発見し、お医者さんにかかって薬を飲むことはもちろん必要です。しかしその手前で予防したり、あるいは歳をとって虚弱になるのを手前で遅らせるためには、「食」「運動」「社会参加」を全員ができるようなまちをつく(*2)加齢によって筋肉量が著しく減少する現象。

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