2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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40り早期に虚弱予防政策をすることが重要です。一方、“ピンピンコロリ”はもう稀です。医学が発展している中で、人は最終的には大なり小なり人のお世話になる。そういう期間を経て死に至るのも今や常識です。この過程をいかに「生きていて良かったね」とすることができるのかが、これからの課題です。(4)認知症高齢者数の増加そうした中、年齢と共に認知症が累増します。85~90歳で4人に1人、90歳以上で2人に1人が認知症になると言われています。2025年には、700万人が認知症になると言われます。認知症が普通になる時代になります。これに対する結論は、受け入れるということです。障害のある人とない人とが共に生きる社会をつくることが必要になります。(5)高齢者世帯の変容を考慮する2025年には高齢者世帯の4割近くが一人暮らしになります。夫婦だけの世帯が3割強で、他世代との同居世帯はたった3割になります。それも、60歳の娘が90歳の親を介護しているようなことになります。そうした中でその人らしく生き切るためには、できる限り元気で在宅中心の社会システムへの構造転換が必要です。ですから私は、高齢者世帯の変容が日本のシステムを転換しなければならない最大の要因だと考えております。3.健康増進・虚弱予防の研究と推進(1)生活習慣病予防では、何をしたらよいのか。生活習慣病予防と虚弱予防あるいは介護予防がメインになります(図2)。(*1)東京大学 高齢社会総合研究機構 特任教授。

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