2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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33(3)地方自治体の現状そういった背景があり、政府は「まち・ひと・しごと創生本部」を作り、地方創生を考えました。実際、人口問題も含めて地方が活性化するためのいろいろなシナリオがあります。ただ申し訳ないのですが、地方自治体は何もせずに、あるいはちょっと何かをやれば地方に戻ってくると思っている傾向が若干あるように思います。これについてはまた後で議論できたらと思いますが、「地域包括ケア」を地方でしっかりとつくり、それを経済の活性化にも繋いでいくという発想をお持ちの自治体もたくさんあります。そういう自治体は、おそらく上手くいくと予想しております。一方で、人口はそんなに減らないだろうと過大に推計している地域もまだございます。もちろん、医療・介護だけでは経済を維持することはできません。しかし、医療・介護も大変重要な雇用吸収の力ではあります。そういう中で、6次産業化の発想を持つべきではないかと私は思います。その話を最後に申し上げたいと思います。(4)地域のストック活用その前に、もうひとつ強調すべき点があります。確かに今は、若い方が東京に集中しています。ですから、地域包括ケアや地域活性化の在り方などを議論する際には、人材面がやはり大変だと言う方が多い。これは非常に大事な問題です。一方で、地域がもっている物的資産をいかに活用するかという観点も、すごく大事なテーマとして出てきています。GDPはあくまでフローです。これからの日本の社会を考えるとき、「月々、年々どれだけの額が入るか」という話はしますが、「どれだけ貯金がたまっているか」という議論は無視し2025年、経済の活性化と高齢化の両立は可能か

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