2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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25さを比較するときには1人当たりで比べるべきですから、圧倒的に日本の方が豊かということになります。人口問題を議論するときには、そういった両方の面から考える必要があります。2030年を過ぎると、労働力人口は間違いなくかなりの勢いで減ります。それに対してどのように備えるか。それは大事なテーマではありますが、あまりにも先々のことを考えて議論するのも変な話です。だからこそ、今日のテーマは2025年としているのです。4.経済活性化を考える(1)経済の活性化とはそもそも「経済の活性化」とはいったい何でしょうか。別に専門家になる必要はありませんが、基本的なことだけは押さえておいた方がいいと思います。結論を先に言えば、高齢化がかなり進みますので、その方々のための医療・介護の費用が増えます。いくら上手に使ったとしても、その費用の増加は避けることができません。では、そのためのお金を誰が払うのか。税金や社会保険料として私たちが払います。そのときに、例えば収入が500万円から1000万円に増えたら、従来300万円の税金が600万円以上取られることになったとしても、別に平気なのが人間の心理です。そういう仕組みを考えて経済がある程度成長すれば、税金はあまり私たちの負担感を大きくせずに上がります。だからこそ私はいつも、「経済が大事なんですよ」ということを主張しています。税金が増えないようなGDPの増え方だったら、実はあまり値打ちがありません。「GDPが中国と比べて上がった。また盛り返した」という議論は、あまり意味がないわけです。そういうことを考えると、やはりもう少し突っ込ん2025年、経済の活性化と高齢化の両立は可能か

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