2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
26/128

24した場合は、話は違ってきます。簡単に言えば、私は今69歳ですが、「あなたはどれくらい働けるの?」という話です。よく考えてみると、農業をやっている私くらいの年齢の人は、わりと平気に働いています。一方で、都会などでは仕事をせずに専ら趣味にいそしんでいる元気なお年寄りもいらっしゃいます。その方たちの中には、働く能力があっても雇ってもらえないという方々もいるわけです。そういう意味では、「雇う力」と「雇ってもらう人がいる」という話は分けた方がいいわけです。結論的には、高齢者の労働力化の議論は「雇う力」のことをあまり考えずに、しかも従来どおり「働いていない人は働いていない」という想定でされている議論なのです。とはいえ、高齢者の労働力化が本当にできるのか、という問題も一方ではあります。(5)人口問題を議論する上での視点私たち人間の算数の能力は、意外に低いものです。例えば「100万人減りました!」ということがあったとします。その場合、分母が1000万人の場合は、10%減となります。しかし、分母が1億人の場合は1%減です。1%減なら、たいしたことはないですよね。でも、両方とも100万人減っているわけです。ところが分母が小さい方が、その減り方が大きく感じる。でも、両方正しいのです。余談ですが、例えば中国と日本の経済をどう考えるかを議論するとき、「中国のGDPが日本を超えました。大変だ」と言います。同時に、「1人当たりのGDPはまだ10倍ですよ」と言います。これはどちらが正しいですか?両方正しいですよね。つまり、中国の人口の絶対数は日本よりも多いですから、例えば日本に観光に来る人の数も当然多くなります。しかし、豊か

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る