2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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22口全体で見れば、ここ10年くらいは毎年40万人ずつくらいしか減らない、ということです。しかしながら人間は先を読み過ぎて、「人口が減る。大変だ、大変だ!」と大きな声で言う傾向がございます。これも算数のトリックみたいな話で恐縮ですが、ここ当分の人口の減り方は0.1~0.3%くらいの減り方です。それが次第に、0.3%、0.4%、0.5%くらいの率で毎年減り、2035年くらいになると1%近く減るようになります。ただし、1%減るのはまだまだ先の話です。経済を議論する多くの方々が「経済成長率が落ちるのは高齢化のせいだ」とおっしゃいますが、それは今申したように先取りのし過ぎという面がございます。日本全体の人口がそれほどの勢いで減ることはないという理屈は簡単です。高齢者が増えるから、全体の人口はそれほど減らないということです。そのことはご理解いただけると思います。(3)労働力人口の将来推計では、若い人が減るから大変なのでしょうか。労働力人口推計の数字をいろいろ見ていますと、実はこちらも当分はそれほど深刻ではありません(図2)。数から申せば、労働力人口もそれほど大きな勢いで減るわけではございません。例えば女性の労働力化等が進むことを想定すれば、2030年くらいまでの15~64歳の男女計の減少率は0.3%くらいです。一方、2030~2060年に関しては、いま労働力化していない人たちがどれだけ労働力化するかによって、かなり変わります。いろいろなケースが想定されており、例えば0.5%くらいの減り方で進むケースもあれば、1.3%くらいの率でドーンと減るケースも出ています。つ

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