2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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191.はじめに今日は経済の活性化について、私がとても大切だと思う視点からお話をさせていただきます。また、私は昨年まで国立社会保障・人口問題研究所(以下、研究所)におりましたので、人口問題を中心にお話しいたします。なお、お話をするにあたっては、4年前に東日本大震災で被災された皆様のお気持ちを考え、そのお気持ちに寄り添いながらこのあとを生きていくことができればと思っております。と申しますのはここ数日、被災地からどんどん人が減っていくという話がテレビ等でかなり報道されているからです。ただ、最初に厳しい話を申し上げますと、これから日本全国で人口は減ります。既にいろいろなところで減っています。そうした中で、被災地だけ人口が増えることを想定するのはなかなか難しいことです。むしろこれからの社会は、人口が減ることを想定した上で、活き活きとした社会をどのようにつくっていくかを考えることが重要ではないかと思っております。そういう前提で、今日はお話をさせていただきます。2.講演のあらすじ最初に「人口・労働力人口、高齢化・出生率」の話を簡単にさせていただきます。テレビ等での報道とは違う見方が必要ではないか、という趣旨のお話となります。その中で特に重要なのは、高齢者の就業がこれからどうなるかということです。これは6次産業化の見通しとも関連しております。ご承知のように、農業をなさっている方と、製造業で働いておられる方、第3次産業で働いておられる方では、その働き方は相当違います。「6次産業化」というのは農林水産省から提唱2025年、経済の活性化と高齢化の両立は可能か

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