2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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112ど早川先生が一言だけおっしゃったTPPについてです。TPPについては日本医師会も反対していらっしゃいましたが、このところは何も聞こえなくなってしまいました。ところが、『ルポ 貧国大国アメリカ((*(*』という本がものすごく売れています。この本の中で著者は、オバマケアという皆保険制度が日本に来たら大変だということを述べておられます。日本の医療が地域医療あるいは高齢者に対応していくときに、西村先生がおっしゃったように新自由主義的な医療が入ってきてしまったら、医療法人ではなく、株式会社の病院も誕生するかもしれない。そのようなことがささやかれるような昨今です。医療関係に詳しい皆さんも、おそらくTPPの何が恐ろしいのかをご研究されていらっしゃると思いますので、お考えをぜひお聞きしたいと思います。 もうひとつは、西村先生はご講演を「6次化」の話で締めくくられましたが、一方では法人化が必要不可欠である、ということも述べておられました。また、兼業農家を応援したいということもおっしゃっていました。農業の成長産業化と言ったら、確かに法人化のような形で進んでいくのかもしれませんが、幸せとは何なのかというお話も片方でありました。これらを考えあわせるに、家族農業を採り入れた国家戦略というものが今は非常に大事ではないかと感じておりますが、この点についてご意見をお聞きしたいと思います。川井:ありがとうございます。では、辻先生からお願いいたします。(*29)堤未果(2008)岩波新書。著者はジャーナリスト。

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