2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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108が、例えば先ほど話題になった、お祭りを定例的にやっている地域は消えなかったというような夢のある話もあります。また、今から20年前の1995年に、総務省がどれだけ限界集落が消えるかを予想していますが、3分の1くらいしか当たっていません。つまり、3分の1くらいは予想通り消えたけれど、あとの3分の2は消えなかった。どうして消えなかったのか、その理由を結構調べています。そうしたものを参考にしながら、地域の自立性を活かしていくのが一番かと思います。 ただ、それでもできないことがたくさんありますので、NPO等の育成が必要になります。しかし、それでもなお、できないことがあります。それは、地方自治体がそのできないことだけをやるのだという姿勢に関わることです。「何でもやります」と言わないと選挙に勝てないから難しいのですが、でも、日本人はそんなに愚かではありません。そろそろ、「できないことはできない」とはっきり言う首長さんが出てきてもいいのではないかと思っています。国は今、地域包括ケアの財源づくりや、いろいろな形の基準づくりを考え始めています。その流れに関することなら、あとで私からご紹介できることもあると思います。地域コミュニティのまとめ役として行政の力量が問われる時代に辻:医療や介護のサイドからあえて言わせていただくと、基調報告でも申し上げたように、日本がこのままで立っていられなくなる一番の理由は、世帯構造の変化です。要するに、一人暮らしと夫婦だけになるわけです。これは、地方(*26)矢作弘(2014)岩波新書。著者は龍谷大学教授。(再掲)(*27)山下祐介(2012)筑摩書房。著者は首都大学東京准教授。(*28)山下祐介(2014)筑摩書房。

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