2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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102 先ほどの西村先生の薬の話などは本当におもしろい話で、私などは「いいよ、出すよ。でも、これは全然意味がないからやめよう」と言います。あるいは「先生、風邪を引いてちょっと体の調子が悪いから点滴を打ってくれ」と言われたら、「風邪を引いただけなら点滴などする必要はないよ」と言って説得する。そうすると20分くらいかかるわけです。でも、「うん、分かった」と言えば3分で済むわけです。そして病院も儲かるとなれば、どちらを取るかといえば後者を取りがちです。でも、骨のあるドクターは「そんなものは必要ない」と言う。ただ、次の日にその患者さんが来ると、「あの先生、すごく冷たいから嫌だ」などと言われるわけです(笑)。このようになった原因は何かというと、根本的には保険制度の隘路というものがあって、誰も責任を取らない形で今までは来ているので制度的にもチェック機能が非常に甘い。厳しくすればしたで、なかなか難しい問題もでてきますが、少しずつ変えていかなければいけないということにたぶんなっていくでしょう。 現場にいる私たちとすれば、本当にエデュケーションをしたいのです。それを個々でやっていると大変なので、講演会などで地域へ出て行っては、「点滴は必要ないからね」「熱中症になっても水を飲めれば大丈夫だからね」というような話を広く行っているわけです。食育も小学校の時からやらないと駄目だと思っているので、私らはそうした予防的な話を各小学校へ出向いて行ってやっています。頼まれれば地域へ関係者を派遣し、エデュケーションするということです。それをこまめにやらないと、最終的にはよくならないと思っています。プロがやるべき教育というのはとても大事だと思います。(*23)手術などに際して、医師が病状や治療方針を説明し、患者の同意を得ること。(*24)加齢によって筋肉量が著しく減少する現象。(再掲)

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