2025年の日本を俯瞰した調和的な社会経済モデルを探る
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101いけませんが、最終的な選択には、現場でのエデュケーショナルな話の仕方というものが伴うのです。それは当然で、私はそれをしない医者はよろしくないと思っています。「全部データを出しました。エビデンスを出しました。だからあなたが選んでください」という話は実はあまり上手くなくて、そうでないと、臨床医をやっている生きがいがないと私は思っています。 そういう意味では、今、西村先生がおっしゃった通りで、プロはプロなりにそれを教える。栄養学も、なぜ食べることが必要なのかを教えることが大切です。また、基調報告で辻先生がおっしゃったように、サルコペニア((*(*で老人になったら、タンパク質を採ろうと言って運動をしてもらうわけです。昔は全然そうではなかった。40年前に保健師さんが「肉を食べると高脂血症になるからやめよう」と言っていたことは、今の80代の人には耳にタコができるほど染み付いているのです。だからほとんど食べないのです。私らが10年くらい一生懸命やって、やっと肉を食べるようになって、食事調査でも「肉を食べる、乳製品を多く取る」というデータが出始めているのです。 だから、教育はすごく大事です。豊田市では救急をどのようにするかを行政と各院長が集まって話し合いをする懇話会がありますが、いつも救急車の利用の問題が上がります。その時に、だったら来た人にイエローカードやレッドカードを渡せばいいのではないか。「あなたは軽症だからレッドカードだ」と言えばいい。「このカードは何ですか?」と聞かれたら、掲示板を見てもらうようにすればいい、と提案したのです。でも、それをやると大問題になるという話になってボツになり、とりあえず啓発活動をしようということになりましたが(笑)。

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