自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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97と8ビットなのです。それが対面で聞き書きをする場合、2秒間「おはようございます」と言うと、それは確か8000万ビットくらいの情報量なのです。目で見て、相手の表情を見て、空気を感じる。今の若い子は、情報が多様になっているようで、実は浅くなってきていて、すごく情報量が少ない。なおかつスマホという誰かが設計したシステムの中で生きていくわけです。「聞き書き」は、そこから引きずり出していく作業です。 だから、その中学生や高校生も「聞き書き」に行った後に、すっかり変わってしまって大人になるのです。キレそうだった子も落ち着いてくるというようなことがある。手前みその話ですが、でも、これはけっこう有効だと思います。中沢:重要な話ではないでしょうか。これから都市から入って来る子たちと、今まで村の中で暮らしていた人たちの間をつないでいくために、それは非常にクリエイティブな「お節介」だと思いますね。川井:早川先生も自分でお試しになってみて、実際、どのような感覚なのですか。早川:僕は、学生にモデルとして聞き書きされたことがありますが、医学部の学生の教育にもすごくためになります。やはり、ずっと心に残るのでしょうね。先ほど澁澤先生がおっしゃった「自分を相手に重ねていく」という話は、そのとおりだと思います。2日か3日くらい通って、一日2、3時間「聞き書き」するのですが、それは彼らにとっては非常に良い経験になって、ゆくゆくはいい医者になると確信しています。認知症などの「予防医学」のモデルを地域全体としてつくり上げたい川井:「医者」という話が出てきました。農業

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