自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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96『聞き書き』は、つなぐ役割。ぜひ全国で利用したほうがいい川井:非常に興味深いお話ですが、実際に「聞き書き」のご教示を受けた早川先生のご意見はどうでしょうか。早川:足助地区でもやっていますが、澁澤先生のおっしゃったとおりです。導入されてからもう7、8年近く、連綿と続いていると思いますが、拝見するたびに、すごく有効な手段だと思っています。医学部の学生の教育にも使わせてもらっているのですが、学生からもすごく喜ばれます。 聞き書きの対象となる患者さんは、僕が紹介するのですが、ほとんど接待されて、あれを食え、これを食え、泊まっていけと言われた女子学生もいました。それはまずいだろうと僕が迎えに行きましたが、お年寄りと若者をつなぐという意味では、「聞き書き」というのは、ぜひ全国で利用したほうがいいと実感しています。中沢:「聞き書き」というのは、民俗学をやるうえで、昔の暮らしを聞いてそれを書くという行為だったのですが、だんだんそれがもっと積極的な意味を持つようになって、生きた武器になりつつあるということですね。これはすごいですね。早川:足助の中学生が「聞き書き」に参加したという話があって、中学生が喜んで話を聞くということで僕もびっくりしたのです。そして、聞く相手がだんだんと、たぶん澁澤先生がはじめに想定された地域の「名人」などではない、一般のお年寄りになってきていますね。それでもいいのではないかという気がします。澁澤:今の中学生はみんなスマホの世界なのです。スマホで扱う情報量、例えば「おはようございます」とスマホで送ると、ビット数でいう

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