自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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91いという意識の根っこにあるものが何なのか。それから、どのようなかたちでその人たちを、例えば今の三河地域に迎え入れていこうかということを考えていきたいと思います。中沢:3・11の後、岡山県にずいぶん若者たちが入ったという話をしましたが、同じ中国地方に祝いわいしま島という島があるでしょう。あの小さな瀬戸内海の島は、長い間、脱原発運動をしてきた島として有名になったところですが、この島にも若い人たちがたくさん入っていきました。 ところが今、ちょっとした問題が発生している。都会で生活していた若い人たちは、農のある暮らしを求めているから、すごくエコ意識が高いのです。ゴミの捨て方から、洗剤の使い方などにもものすごく敏感なのです。その人たちが村に住んでみると、村のおばあちゃんたちは昔からの生活ですから、洗剤をがんがん使って食器などを洗っている。しかし、一方では、自分たちは自然の暮らしを守らなければいけないと考えている。 そうすると、若い人たちがおばあちゃんたちに「洗剤を使ってはいけない」などと言うので、むっとするわけですね。自分たちは普通に長い間やってきたのだから、そんなことは言われたくないと。ここで、些細なことなのですが、だんだん気持ちの離反が起こってしまって、Iターンで入った若者たちと、ずっと島で暮らしていたおばちゃんたちの間に感情的な対立が発生していることについて、どうしたらいいだろうという話を聞かされたことがあります。 そうした問題というのは、どこでも発生すると思います。それは若者たちにも問題があると思います。ものも言わず、理論も立てず、言葉にもせず、自分たちの生活をつくってきた人たちの暮らしの奥に潜んでいる合理性を理解しないで、自分たちが頭の中でつくったエコロジー

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