自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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90しゃいますか。中沢:〝産業としての農業〟ではないということです。これは実は花祭りの話です。「花祭り」というお祭りは、今、山間部でやっていますが、あのお祭りは、もとは海民が持っていた芸能で、あれが山の中に入り、しかも残って、その村のアイデンティティをつくっている。ということは、あの山間部に入っていった日本人だって、もとは海と非常に深い関わりを持っていた日本人です。 「農」という言葉はものすごく柔軟で広い言葉なのだと思います。農地にくくりつけられるようにして生きるという農民ではない「農」を、日本人はつくってきたのではないでしょうか。それを宮本さんたちはもう一度、もとに戻そう、現状を見直そうということで、農民を追求していたのではないかと僕は理解しています。若者たちと地域の人たち。二つの意識がどう結合し、もみ合っていくのか川井:ここまでのお話の展開は、地域におけるお祭りの役割から、農業の形態の話、そして、若い人たちが農業一本やりで生計を立てていくというよりは、〝農のある暮らし〟というところにすごく魅力を感じているというお話があったと思います。先日、河合組合長のところに伺ったときにも、限界集落化する地区のお話がありましたし、これからIターンも含めて後継者の問題がクローズアップされていきます。あの地域には貴重な野菜などもたくさんあるわけですが、その継承について皆さん、すごく心配されていました。 そこで、今の若い人たちが、これから農業に従事する、あるいはこんな地域で暮らしてみた

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