自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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86 その意味でいうと、先ほど早川先生がおっしゃったとおり、今、都市の過疎化のほうがはるかに深刻なのです。多摩ニュータウンにしても、高島平にしてもそうなのです。助けてくれるところがないし、生存の基盤がお金しかないですから。少なくとも、地方に行くと、どんなに過疎化、高齢化していても、年金が入ってきます。それから自分の食べ物をつくる土地がある。そこでの人間関係づくりは、都市で生きるよりもはるかに楽です。震災以降、すごく時代が変わってきて、そういう若者が圧倒的に増えた。 その人たちは、もう物質的豊かさは求めていない。経済的、物質的豊かさは、もう十分だと。しかし、自分たちは、自分の手でデザインをして、自分で生活の基盤をつくっていきたい。その中で人間関係もつくっていきたい。そのような若い人たちが急激に増え出した。その意味では、私は非常に楽観的に考えています。若者たちは、日本人の先祖返りのほうへ向かっているのではないか川井:今、都市における過疎化のお話がありましたが、まさに、都市が直面している問題として、高齢化する団地問題があります。公のシステムとして国の支え、あるいは自治体の支えというかたちで何か対策を練っていかない限り、もう自分たち個々の努力では、なすすべもないという地域がかなり大量に出てきています。非常に難しい問題だと思います。さて、中沢先生、いかがでしょう。地域の抱える問題は様々ですが、澁澤先生からは、お祭りと教育の関係、生きるための教育といったご発言があり、そして、今の若い人たちの感覚も変化しはじめているというお話がありました。

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