自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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83 この人たちの力というのは、本当にすごい。これが農村の力だと思います。それはお金がもらえるからやっているわけではないのです。みんなで支え合っていく。こうしたことがある限り、農村はずっと続くのだろうと思っています。社会教育はどの集落にもある。その最高の場が「祭り」川井:ここまで地域というテーマで、最初は自然との関係性、そしてお祭りに託された機能など、協働活動について伺いました。それらの根っこにあるのは、どうも農業を中心とする第一次産業のようにも思えるのですが、このあたりは本当にすべて相通じるものがあるのですね。人間の営みとして、今我々がいちばん忘れかけている部分が掘り起こされてきたような気がいたしました。 澁澤先生、ずっと地域で、「聞き書き」の活動を中心に、ご高齢の方々のお話を聞いたり、若い人の教育に携わったりされている中で、何かお感じになられたことはありますか。澁澤:祭りがすごく重要だというのは、どこへ(*5)五穀豊穣を祈願して、剣術、棒術、薙刀術など日本武術の形を踊りにした伝統芸能。愛知県近郊では棒の手と呼ばれているが、地域によっては棒術、棒踊りなどとも呼ばれているところもある。 (*6)新城市七郷一色字黒沢地内で、集落の繁栄と平和、五穀豊穣を祈願して行われる踊りや遊びなどの伝統芸能(国指定重要無形民俗文化財)。例年2月の第1日曜日に一般公開されている。川井 真

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