自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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82もしれませんが、全国の過疎化対策のシンポジウムのようなものが行われており、私の地域でもいろいろな取り組みがされています。そのときに、たしか早稲田大学の先生だったと思いますが、やはり社会共通資本としての祭りがきちんと位置づけされているところには、若者は必ず残ると。全国のデータで見ても、必ずそうだということです。 ですから、その意味では私どもの地域は、集落の神社の祭りもありますが、花祭りがあったり、古くからの郷土芸能のようなものがたくさんあります。「棒の手(*5)」、「黒沢田楽(*6)」など、いろいろなものがあります。そうしたところが一つのコミュニティの場として、集落の機能が成り立っている要因ではないかと思います。 田舎には、社会の共通資本があり、人のまとまりができる原点があるのではないかと思っています。田舎には、お寺や神社以外にも、人の結びつきがあります。先ほどの早川先生のアンケートの中に、鳥獣害の被害がひどくて困っているという結果が出ていましたが、最近はニホンジカがものすごく増えてしまって、あちこちの農作物を食い荒らす状況が出ています。今、国も本腰を入れはじめて、環境省とも調整しながら、駆除対策をしていただいています。 侵入防止柵といって、ワイヤーメッシュで、うちの集落も本当におりの中で暮らしているような状況になっていますが、4年間で総延長380キロメートルにも及ぶワイヤーメッシュを設置しました。うちの常務が言っていましたが、380キロというと、愛知県新しんしろ城市から福島県までの距離です。それを集落の人たちは自分たちでやる。お勤めの人もずいぶん多いわけですが、土日にみんなが寄り集まってやるわけです。

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