自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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79になる。あのブータンの国王が言っていた、例の「幸福度」といわれているのは、実はそのことなのです。 では、そのもっと大本は何かと考えてみると、この大本をどんどん探っていくと、やはり「自然」ということにたどり着いてくるのです。自然は人間に対してサービスをしています。代価を求めているわけではありません。自分たちの力で動いて、自分たちの秩序をつくっていて、人間はそれと協同関係をつくり、地域というものをつくっているわけです。ですから、地域生活のいちばんベースのところには、見えない部分で、ほとんど意識もされていないのですが、「自然」があると思います。 このことを河合組合長は大きく意識して、うちは自然が大事なのだと言っていました。それは百名山だったり、百名水というかたちで、優れた自然景観があるという意味もありますが、同時に人間を包み込む、人間の生活を抱きかかえ、しかもとても大事なものを人間に与えてくれていて、代価を要求したりしないものが自分たちを包んでいること。結局、これが、あまり意識はされていないのですが、地域生活の豊かさの一番のベースになっていると思います。 例えばブータンという国は、照葉樹林の豊かな自然に囲まれていて、あの人たちが言う「幸福」は、実は「自然」がもたらしていると僕は思っています。 川井さんによる趣旨説明に、これからの世界、個人・行政・企業の三角形の構図がありましたが(P19参照)、あの描写は少し金融産業的な世界観だと感じました。実はあれには足りないものがあるのです。それらが川井さんの描いた三角形を包んでいる。その包んでいるものが、何か人間に作用を及ぼしているのだろうと思います。

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