自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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78し、「無尽」や「講」というのは、最初はお寺を中心にして発生してくることが多かったのです。生活の他の部分で、お金で動く生活のベースをつくったとしても、その村の中にそれとは違うサービスの中心地があるということが、とても重要だと思いました。 お祭りを例にとって考えてみると、確かにお祭りをするためにはお金はものすごくかかるのですが、これは別に投資のために使うわけでもないし、自分のもうけのために使うわけでもない。何かきらびやかなものをつくって消費するわけです。それをみんなで楽しむということをお祭りで行っている。ここにも、それに参加すると、その地域が強いまとまりを持ったり、喜びを持ったり感じたりするようになる。それがいったい何なのか。普通のお金の交換とは違う原理で動いていて、人を助けたり、喜びを与えたり、興奮を与えたり、感動を与えたりするようなものが、地域の中心部にセットしてある。それが重要だと思います。 都市にそうしたものがないかというと、そんなことはないのですが、AKBのコンサートなどに行って、みんなが喜びをもったり興奮したりしています。それは基本的にはお祭りなどとよく似た行為ですが、その組織を支えているのは大きなプロダクション、音楽産業であって、これはもう完全にお金で動いている組織なのです。ところが、地域では、そうではないものが動いている。地域の「幸福」は、実は「自然」がもたらしている中沢:お金によらないで、人間同士のエネルギーを動かしているものは、人間を豊かにする力を持っています。そうしたものに参加すると、心がほっこりして、豊かになったような気持ち

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