自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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77「地域」とは、お金によらない部分で回っている共同体川井:本当にそう思います。ところで、先ほど「地域」とは何かというお話が、澁澤先生のお言葉の中にもありましたが、中沢先生、そもそも「地域」とは何なのでしょうね。中沢:「地域」とは、お金によらない部分で回っている部分が確実につくってある共同体のことをいうのだと思います。都会を「地域」とはいわないのは、全体がお金で動いているからです。例えば、社会福祉なども、結局は税金を還流するというお金のシステムで動いています。 「地域」というのは、これは田舎であろうが、都会であろうが、どこでも構わないと思うのですが、その中にお金によって動かない部分、いろいろな言い方があると思いますが、サービスによって人と人を結んだり、助けたりする組織がある共同体、あるいは人間の住む世界を「地域」というのだと思います。 僕が足あすけ助に行って、ちょっとびっくりしたのは、足助の町の中心に足助病院があり、体のケアも含め、精神的な問題も含め、病院が中心になって動いているのです。基本的には病院がサービスを行っている。もちろん診療というお金で動く部分もあるのですが、それにはるかに勝る部分を、病院がサービスしていることに、ちょっと驚きました。そして、これからの地域の在り方の一つのモデルがここにあると思いました。 例えば、昔はどのようにできていたかというと、村の中心にはお寺があったり、神社があったりして、ここはだいたいサービスや贈与で動いているのです。悩み事を持っていって、お寺のお坊さんが解決することも、一種のお坊さんがやっている精神的なサービスだったわけです

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