自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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74はないかと。そのようなことを想定していったらいいのではないかと思っています。 最近、『里山資本主義』という本が出て、僕も読ませていただきました。僕はこの本が出るずっと前に、これに近い真まにわ庭の話を澁澤先生から伺っていて、初めは東北地方の話かと思っていたのですが、中国地方(岡山県)の話でした。 そのときにも先生と話したのですが、里山資本主義は田舎だからこそ成り立つと思ったのです。むしろ人口過密なところでは、うまくいかないだろうと。 先ほど個別報告で先生が話されていましたが、地域の「誇り」を持つという意味で、人口過疎地域のほうが、こうした新しい思想を非常に実現しやすい環境にあると思うのです。人口が過密だと、とてもできない。ある一定のところまで人口が落ちないとできないと思います。人口が落ちていくときに高齢化は避けがたい現象で、そこをどのように乗り切るか。少しおかしな言い方かもしれませんが、すごく希望に満ちた乗り切り方があると思っているのです。それを示したいというのが、今の僕の基本スタンスです。 そのためには、75歳まではしっかりしてもらって、もっと上の85歳以上の人たちを支える。75歳から80歳くらいまでは、例え「老害」と言われようとも十分に仕事ができる。85歳になっても他人に支えてほしくないという方もいるわけです。 それはそれでまったく問題なくて、そういう成熟した社会を日本は先陣を切ってつくればいいわけです。何も昔みたいに戻らなくても、ICT(*3)やIT(*4)などの技術を使って、「里山資本主義」の何パーセントかを取り入れる。そのようなかたちでやっていくといいのではないかと思います。 真庭のように山林のあるところは、それがで

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