自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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70Iターンで東京から来た人たちを自分たちの家族として受け入れる中沢:僕もその女性部の会へ参加しましたが、活気があり、一人ひとりが、ここまで言うかというくらい言っている。実は、河合組合長はその会ではタジタジなのです。 JA全体では上層部の構成は、女性は非常に少ないのではないかという印象を受けます。例えば、河合組合長のところに行っても、上層部の人たちは男性なのです。ところが、アイデア、意欲においては女性のほうが断然活力がある。縁の下の力持ちどころではないと思うくらいでした。 発想が大変自由なのには驚きました。自分たちの息子は、帰ってきて農業を継がないかもしれない、それは仕方ないと言っているのです。だったら、都会からIターンで入って来る人たちを受け入れようということまで言い出す。 今まで農村の人間関係の基本をつくるのは「家族」と「地域共同体」でしたが、そもそも「家族」の部分が、今、日本では変質し始めている。大家族が、核家族になったことで、家族が機能しなくなってきている。ところが女性部の人たちは、機能しなくなった部分を自分たちが担おうと言うのです。「Iターンで東京から来た人たちを自分たちの家族として受け入れることもできる」というくらい、大胆なことを言っていたのには、僕はびっくりしました。それがいろいろと難しいことをはらんでいることは、皆さんもよくご承知のとおりだと思います。それでも、この人たちは今まで農村共同体をつくってきた原理を変えても構わないと思っているのです。 この人たちが考えていること、この人たちの活力というものを大きく引き出して浮上させる

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