自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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65部分を侵食し始めている。これが世界中で起こっているのです。この世界中で起こってしまっている資本主義のスタイルは、西ヨーロッパが始めてしまったことですが、その西欧のやり方を日本人も受け入れてきたわけです。 しかし、それから百数十年経ち、世界規模で方向を変えていかなければいけないときにきている。そのとき日本人は、すでにモデルを知っている。資本主義をどちらの方向へ戻していけばいいのかについて、日本ははっきりしたモデルを持っているということだと思います。くしくも「里山資本主義」という言葉が使われましたが、それは、私たちの先祖が近代産業を受け入れ、資本主義をつくろうとしたときのモデル、つまり澁澤栄一さんたちがビジョンとして描いていたものだと思います。 生活の隅々にまで問題は及んでいて、それが今日では老人介護の問題だったり、流通の問題であったり、農村社会のつくり方の問題、そうした小さなところまで及んできています。しかし、大きな目で見たときに、どちらの方向にこの社会をつくり変えていけばよいのかという、ある程度の解答が私たちには見えています。これは日本の大変な長所だと思います。お三方の話は、この解答の図を描いてくれたと思います。 実現は大変難しいことだと思いますが、その中から見えてくるビジョンを取り出してみる。これはJA共済、あるいはJAにとっても非常に重要なヒントになると思いますし、日本全体が、これから我々の社会がどのような方向へ向かって行かなければいけないのか、何か一つの見取り図のようなものを見せているように思います。ですから、僕は今日の集まりは大変重要なものになると考えています。

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