自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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56いましたが、今では、小学生には中学生が教え、中学生には高校生が教えています。また、高校生は修学旅行で訪れて来た高校生に「バイオマスはこうやって利用してね」などとガイド役を務めています。うちの地域では、製材業で出たものを全部利用して自分たちのエネルギーに変えている。それがまた山を育てるお金に還ってくるということを、子どもたちが子どもたちに説明をする。そうすると、子どもたちは山を誇りに思い、顔つきが変わっていく。今まで大人がお荷物と言っていた山が、「どうやら資源らしい」と期待するようになります。その変化のひとつとして、17~18年前には普通高校を出て岡山大学や大阪・東京の大学へ行っていた優秀な生徒が「高校を出たら地域で働いて地域に残りたい」と言うようになってきました。地域の農業高校、商業高校の偏差値も急に高くなりました。それだけでも地域の明るさが出てきたと言えます。合意ができて地域が動き出すとき●煩わしい思いが必須このように取り組んできて、だんだんとわかってきたことがあります。木質はものすごくかさばって重く、燃料にするためには木を切って運ぶ必要があります。3Kの仕事が欠かせません。だけど、地域を幸せにしようとすると、いったい誰が、いくらで、どこからどこに、どういう形で運ぶのかを決めなくてはなりません。地域では人間関係が煮詰まっていますから、よそ者が入る必要があります。決めれば動き出します。自然再生エネルギー事業は、エネルギー事業のように思えます。私たちもそう思っていまし

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