自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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55では農家もペレット炊きのボイラーに変えています。そうした努力の結果、10年間で地域のエネルギー自給率が11・6%になりました。わずか1割ですが、重油に換算すると14億円以上です。観光業で14億円を地域に残そうとすると、約140億円の売上が必要とされます。しかし真庭では、石油を木に変えただけ。それだけで14億円が地域に残りました。そのうち5億円を山に還すことができたということです。それによって、地域の経済は瞬く間に変わっていきます。他地域からの見学者も出てきます。「あまりに見学者が多すぎる」と工場からのクレームも出ました。そうすると今度は、Iターン・Uターンで帰って来た若い女性2人が観光協会を立ち上げました。それまで真庭には観光協会がなかったのです。その後は彼女たちが見学者をガイドするようになりました。新たな産業にしようとバイオマス関連の取り組み視察を有料ツアー化し、3年間で7000人以上も集客しました。●子どもが子どもに教えるまた、ある産業廃棄物の処理をしている若い男性がいました。産業廃棄物処理業者は地域で胸を張りにくい仕事ですから、彼は暗い顔をしていました。その彼がある日、「天ぷら油をディーゼルオイルにしたいんだけれど、それもバイオマスですか?」と聞きに来ました。十分バイオマスなので、ぜひやろうということになりました。そうしたら彼のところに小学生たちが見学に来るようになり、彼の顔つきはどんどん変わっていきます。彼は今、地域の若手リーダーとして活躍しています。さらには、子どもたちも動きます。当初は役場の職員や私たちが学校などで出前授業をして再生可能エネルギーの導入と地域活性化~「里山資本主義」の道のり~

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