自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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3まず、セミナー前半に行われた個別報告では、「食」「自然エネルギー」「ケア」の各分野において地域コミュニティづくりに精力的に取り組まれている3名の実践者に事例報告をしていただきました。最初に愛知県厚生連足あすけ助病院・早川富博院長より「中山間地域医療機関を拠点とした地域コミュニティ再生構想」、続いて愛知東農業協同組合・河合勝正組合長より「地域と共にJA愛知東が目指す相互扶助の土壌づくり」、最後に東京農業大学農山村支援センターの澁澤寿一先生より「再生可能エネルギーの導入と地域活性化」について、それぞれご報告いただきました。続いて、休憩を挟んで行われた後半の部では、前半の個別報告を踏まえ約2時間にわたってディスカッションが行われました。登壇者は6名。先にご報告いただいた3名に、もう一人のゲストである明治大学・野生の科学研究所所長の中沢新一先生と、当研究所理事長の町田勝弘が加わりました。コーディネーターは、当研究所主席研究員の川井真が務めました。なお、思想家・人類学者として高名な中沢先生にはインキュベーターとして、永続的な地域コミュニティづくりの条件や協同組合の存在意義等について、より普遍的な観点からご発言いただきました。ここで参考までに、このように立場も経歴もまったく異なるメンバーが、どうしてこのセミナーで一堂に会することになったのか、その経緯をご説明しておきたいと思います。ことの発端は、2011(平成23)年、愛知県三河山間地域の健康創造をテーマに開催された「香こう嵐らんけい渓シンポジウム」でした。同シンポジウムは、足助病院の早川院長をはじめとする地元の有志たちが、この地域の全住民に参加を呼びかけて実現した企画で、2011(平成23)年の第1回

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