自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
48/132

46岩手県大おおつち槌町吉きりきり里吉里地区で、昭和8(1933)年の復興計画書が見つかった。大津波の年に村民が作ったものだ。食料確保やエネルギー自給、教育、医療、産業創りの計画も記されている。私たちはこの50年間で、自分たちで創って生きることを失ってしまった。岡山県真まにわ庭市は中国山地の真ん中、森林率80%の地域。製材業や林業は苦しく、17~18年前は「山は負の遺産」だった。住民は「なんとかしなければ」と勉強会を始める。私も参加し、木質エネルギー利用に取り組んだ。多様な産業創出を目指し、プラスチック、ペレット、燃料、ネコ砂、発電などあらゆる試みをした。結果、エネルギー自給率は11.6%、14億円以上が地域に残った。若者が地域に戻り、子どもが子どもに教え、顔つきも変わってきた。地域づくりにはお金や数字で計れない価値がある。また、自然再生エネルギーには煩わしさと自治が必要。失われた人間関係や自然との関係を創り出すことが大切だ。個別報告3再生可能エネルギーの導入と地域活性化~「里山資本主義」の道のり~講 演 要 旨東京農業大学農山村支援センター 副代表NPO法人共存の森ネットワーク 理事長澁澤 寿一

元のページ  ../index.html#48

このブックを見る