自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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30募をやめました。ではどうするか。地域の皆さんにはこの2年間の顛末をすべてお話ししました。しかし住民の方は、「だけど先生、これすごくいいからやってほしい」と言うのです。そこで、行政の支援を考えずに、持続可能な仕組みを自分たちで考えることにしたのです。経費については、「利用者負担にしてください」とお願いしました。住民の方からは「病院が全部やってくれるんでしょう?」と言われることもありましたが、それは無理な話です。ですから、「病院は橋渡ししかしません。それも重要な役割なんですよ」という説明をしました。●持続可能な送迎方法に向けて大問題なのは、送迎です。これまでの形で毎日運行するのはとても大変ですから、「利用者全員で割り勘、乗り合いでやってください」ということにしました。この事業のキーポイントは、「玄関から玄関」の送迎であるということです。「バス停があってもそこまで歩いていけない」という意見が圧倒的でしたから、そこは外せません。そこで、玄関前まで車が行けない場所は運転手さんに手伝っていただくことにしました。ただ、地域ごとに5~6人の人を集め、1台のタクシーに一緒に乗るという仕組みでは、地元のタクシー会社から「それでは困ります」と言われると思っていました。ところが、「先生がそこまで言うなら協力します」とタクシー会社が言ってくださり、新しい送迎方法での運用が実現できることになりました。●新しい送迎方法の良い点と悪い点新しい送迎方法の良い点は、支援がなくても持続可能な方法だということです。また、同じ

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