自然と人間の協働による永続的な地域社会づくり
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19いう状況は、海外からの大規模な人口流入がないかぎり、今後、半世紀以上にわたって日本という国を象徴する人口構造になります。だからこそ、社会の基層単位である「まち」や「むら」の機能を再考し、再生して、生活の内実を豊かにしていく取り組みが、今求められているのだと思うのです。この〝まちづくり〟の主役は「公」でもなければ「私」でもない、「共」という領域を感覚的にとらえている人たちが担うことになるのだろうと思います。「共」という感覚はどこから派生してくるのでしょう。それは「地域で生きる」ということ。喜びや悲しみ、禍福を共有しながらその地域で生きていく、あるいは「生きていくしかない」という〝リアル〟です。それがなければ本当のコミュニティ、すなわち永続的な地域社会づくりはできないのだろうということに、これまでの研究活動を通じてはっきりと気づかされました。すでに多くの農山漁村地域には、「共」を感じ取っている人たちが集まり始めています。この人たちを結びつけているのは義務や権力や報酬ではなく、等身大の生活世界で共有された価値観のようなものです。彼らは非階層的なネットワークを広げながら、持続可能な世界の実現に向けて、暮らしの場をデザインしていきます。それはソーシャル・ビジネス(SB)やコミュニティ・ビジネス(CB)のような形態をとりながら、現存する地域の資源、すなわち人や組織や自然や文化などを網の

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